インプラント一般診療審美

「6月4日虫歯予防の日」と「歯の健康 8020運動(厚生労働省)」について

「6月4日虫歯予防の日」と「歯の健康 8020運動(厚生労働省)」について

医療法人社団セントラル第一歯科クリニック

院長 伊藤慎一:日本口腔インプラント学会専門医/国際インプラント学会認定医 歯科医師

副院長 伊藤聡夢:歯科医師

 

  1. はじめに

歯や口の健康は、全身の健康に大きな影響を与えます。

口腔内の細菌が原因で虫歯や歯周病は放置されると、深刻な合併症を考慮する可能性があります。

定期的な口腔ケアを続けることで、これらの病気を予防でき、さらには全身の健康の維持増進にもつながります。

私たちの健康的な生活もっとも、歯と口の健康は重要な鍵となるのです。

食事を美味しく楽しむため、会話をスムーズにするため、そして何よりも充実したクオリティー・オブ・ライフ( QOL:Quality of life)を実現するために、虫歯や歯周病の予防と口腔衛生管理は欠かせません。

仙台市青葉区中央に開業し40年、歯科医師、インプラント専門医として毎日、歯と口腔を診ています。

今回のセントラル第一歯科クリニック「デンタルブログ」では、虫歯予防デーの由来から、歯と口の健康が全身に及ぼす影響、そして具体的な健康習慣などについて解説していきます。

歯の健康を維持することは、健やかで豊かな人生を過ごすことにつながります。

  1. 6月4日虫歯予防の日の歴史

6月4日は「虫歯予防デー」として、全国的に虫歯予防の啓発活動が行われています。

このデーの由来は1959年に遡ります。

子どもの虫歯有症率が高く、虫歯対策の必要性が叫ばれていました。

そこで日本歯科医師会は、6月4日=「む」「し」歯の「ごろあわせ」もあり、この日を「虫歯予防デー」と定め、全国的な運動を開始しました。

学校などで、虫歯予防に関する講習会や歯科検診、歯みがき指導などの活動が行われました。

多くの方は、小学校の先生から「6月4日は虫歯予防の日」と教わったと思います。

 

国を挙げての取り組みにより、子どもの虫歯有病率は大幅に改善されてきました。

近年では、単に「虫歯予防」だけでなく、歯周病予防や口腔がん検診、食育の推進なども盛り込まれ、「歯と口腔の健康週間」と位置付けられています。

人生を通じて、歯の健康は大切です。

加齢とともに、歯周病の発生確率は高くなります。

日本の医療では、高齢者の虫歯や歯周病問題はしっかり確立されています。

そして生涯を通じた継続予防が求められています。

6月4日は、歯と口腔の健康意識を高める良い機会となっているのです。

 

  1. 歯の健康とQOL(Quality of life)

歯が丈夫であることは、人生のQOL(Quality of life)を左右する大きな要素の一つです。

噛み合わせが低下すれば、食事の楽しみが損なわれ、栄養の偏りなども生じかねません。

また、歯ぐきの腫れや出血、口臭などの症状は会話の際の障壁となり、人間関係にもストレスを与えてしまいます。

さらに、歯や口内の痛みは集中力や睡眠の質を下げ、生活の楽しいリズムを乱してしまいます。

逆に、虫歯や歯周病のない健康な口腔内環境があれば、食事を十分に味わい、栄養を摂取できます。

そして、充実した生活リズムを守ることができます。

このように、歯と口の健康は、食生活、社会生活、そしてメンタルヘルスにも深く取り組んでおり、QOL(Quality of life)を大きく左右する要素なのです。

人生を豊かに謳うためにも、歯の健康は欠かせません。

 

  1. 歯の健康と脳卒中や心筋梗塞の関係

歯周病は、歯肉に炎症を起こす慢性の感染症です。

細菌の感染が長期化すると、やがて歯ぐきから骨が溶けて行き、最終的には歯を支える組織が破壊されてしまいます。

今年、この歯周病が全身の健康にも深刻な影響を及ぼします。

歯周病菌は唾液を介して体内に入り込み、血管を通って全身に広がる可能性があります。

特に注目されているのが、脳卒中や心筋梗塞との関連性です。

実際に、大規模な疫学調査でも、歯周病を放置した人は、健康な人に比べて脳中の卒発症リスクが2〜3倍高く、心筋梗塞のリスクも1.5〜2倍高いことが示されているあります。

逆に、歯周病を正しく治療し、細菌の負荷を下げることで、全身疾患のリスクを軽減できる可能性があります。

定期的な歯科検診と治療、そして日々の歯みがきなどによる口腔衛生管理が特に重要なことです。

 

  1. 厚生労働省 歯の健康「8020運動」とは

厚生労働省は、「歯の健康」として生涯を通じた「8020運動」の普及推進、実践を行っています。

「8020運動」とは、80歳になっても自分の歯を20本持つことを目指す運動です。

早期から正しい歯科予防習慣(習慣)を身につけることが重要とされています。

また、「歯と口腔の健康習慣」として、以下の3つの習慣が推奨されています。

  1. 正しい歯みがき習慣 歯垢を残さず、磨き残しのない丁寧な歯みがきが基本です。
  2. 正しい食生活を噛む力を維持するため、硬い食品を意識的に食べることが大切です。
  3. 定期的な歯科検診で症状がない段階から、歯科医師による検診を定期的に受けることで、初期段階の虫歯や歯周病を発見し、重症化を防ぐことができます。

このように、日々の歯みがき、食生活の工夫、そして定期検診を組み合わせた総合的なアプローチが、生涯を通じた歯と口腔の健康維持につながります。

  1. 歯と口の健康習慣のポイント

前述した厚生労働省の推奨する「歯と口腔の健康習慣」をしっかりと実践するためのポイントを解説します。

【正しい歯みがき習慣】

・ブラッシング時間は2分以上が目安

・歯面と歯肉を丁寧に磨く

・食後の歯みがきを心がける

・フロス、口腔洗浄機なども併用する

【適切な食生活】

・硬い食品を意識的に食べる

・主食・主菜・副菜を揃えた食事

・食後は必ず歯みがきをする

・間食を控え、しっかり噛む習慣をつける

【定期的な歯科検診】

・可能な限り3ケ月1回は歯科医師に口腔内を診てもらう

・40歳以上は、月1回は歯科医師に口腔内を診てもらう

・歯の痛み、歯ぐきの不調等の症状があれば早めに受診する

・歯科医・歯科衛生士による継続的なメインテナンスを受ける

これらの習慣は徐々に難しいものではありません。

直ぐに実行しましょう。

 

  1. 歯の定期検査のすすめ

歯と口腔の健康を守る、大切なことの一つが、定期的な歯科検診です。

自覚症状がない場合でも、年に最低でも1〜2回は歯科医による検査を受けることをお勧めします。

虫歯や歯周病の初期段階では、症状はあまりありません。

歯も早期発見早期治療です。

私は、歯も予防医学が大切です。

早めの歯科検診で予防につなげることが大切なのです。

検査では、歯や歯ぐきの状態を細かくチェックし、必要に応じてレントゲン検査なども行われます。

また、検診の際には専門スタッフから正しい口腔ケアの方法を学ぶこともできます。

歯の健康を守り、全身の健康にもよい影響を考えるためには、定期検診は必須です。

早期発見と予防が最大のポイントなのです。

歯科医師、歯科衛生士と協力しながら、当面が継続的なものですセルフケアを実践していくことが重要となります。

 

  1. まとめ

歯と口腔の健康が侵されると、食生活の質の低下、人間関係への影響、さらには全身疾患のリスクにもつながります。

より豊かな生活=QOL(Quality of life)ができます。

具体的には、

①正しい歯みがき

②バランスの良い食生活

③定期的な歯科検診

です。

6月4日の「虫歯予防デー」にあわせて、歯と口腔の健康について考える良い機会にしましょう。

一つ一つの習慣を大切にし、歯科医療従事者の正しいアドバイスを仰ぎながら、健やかで心豊かな人生を送りましょう。

私たちの「口腔と歯」に対する意識向上と実践が、健康長寿社会の実現に続いていくのです。

 

参考及び引用 厚生労働省 歯の健康

https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b6.html

 

日本歯科医師会 虫歯予防の日

https://www.jda.or.jp/enlightenment/poster/

 

 

日本歯科医師会 健康長寿社会に寄与する 歯科医療・口腔保健のエビデンス 2015

https://www.jda.or.jp/pdf/ebm2015Ja.pdf

 

 

 

デンタルコラムDentalcolumn



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